2013年11月14日木曜日

民間委託に、期待しすぎていませんか?

大阪市が、水道事業の民間委託を検討しているらしいです。

このような動きは、ほかの地方公共団体でも検討されているらしいです。

国や地方公共団体の事業が民間に委託されるという事は、もはや珍しいことではありません。

公共のホールや運動場、野球場などの施設管理、運営を外部委託しているなんて今や常識ですし(ただ、その大半は、地方公共団体が出資している財団法人なのですが)、TSUTAYAが運営する図書館とかありますし、駐車違反の取り締まりとか、ゴミや下水の収集、各種資格試験の運営、国民年金の取り立て、市役所の総合受付…あげるとキリがありません。

「民間にできることは、民間に」
一昔前に、流行りましたね。

水道事業の民間委託もこうした流れの一環という事なのでしょうか?

詳しいことは、別でみてもらうこととして、簡単にいうと、水道施設は市が保有(まぁ当たり前ですね)して、運営を民間に委託するというものらしいです。

でもね、水道事業って、民間にできること、なのでしょうか?

<ちょっと、シミュレーション>

貴方の街の水道が、DQN株式会社(仮名)という会社に運営が委託されることになりました。
その会社は、落札金額以内に経費を抑えて利益を出したいので、大量のアルバイトを雇いました。
そのアルバイトの中には、テロリストがいました。
そのテロリストは、浄水場のタンクに毒を入れました…。

なんてことあるんじゃないですか?

いや、ちゃんと素性チェックするから大丈夫。

素性チェック?

悪いけれど、チェックなんてしきれないよ?

顔写真と身分証だけでチェックできると思いますか?

いや、ちゃんとした会社に委託するから大丈夫。

ちゃんとした会社って?

ちゃんとした会社でも、派遣会社や作業請負会社使ってますよ。
というか、使わないと採算取れないはずです。
そうした場合、誰が入り込むかなんて、チェックしきれませんって。

ところで、民間委託を行政改革の画期的施策とでも、思ってらっしゃる方がいるのではないか?と感じることがあるのですが、どうなんでしょうね?民間委託。

民間委託、そんなにいいことなのでしょうか?

経費の削減?

公務員としての人件費より、民間委託にした方が人件費がかからないと、言うことなのでしょうか?

まぁ、正規労働者としての公務員より、民間委託して、民間で、非正規労働者に現場仕事をさせたほうが経費は安く上がるかもしれませんね。

ただ、経費が下がる、人件費が下がるという事は、質も下がるという事も、覚悟しておかないといけません。

いや、そんなことは、ない。
つぶれる心配のない公務員より民間の方が緊張感を持って仕事をするから、質は下がらないし、活性化されると反論する方もいるでしょう。


でもね、その考え方、古いです。

公務員が緊張感がないという一面はあるかもしれません。

ですが、まだ身元がしっかりしているうえに、変なことをすれば、世間の目が厳しいです。

それに対して、民間はどうでしょう?
確かに、正社員なら、解雇のおそれ、そして、適当なことをしたら会社がつぶれてしまうといった緊張感があるかもしれません。

ですが、実際業務に入るのは、正社員ではないはずです。

民間委託は、一社入札や談合でもしない限り、永遠に業務を受託できるとは限りません。

そんな、いつなくなるかわからない案件のために、正社員をつぎ込むだけの余裕のある会社などないと思います。それに、正社員が業務についても利益が出るだけの額では、落札できないでしょう。

ですから、実際業務に入るのは、どこかの派遣会社に依頼した派遣社員か、アルバイトといった非正規労働者だと思います。その派遣社員も、身元がしっかりしている人とはかぎりません。

非正規労働者の考えることは、自分の生活です。いわゆる割り切った労働者なのです。責任とか組織のためとか考えません。そう、それは、そうあるべき存在なのです。
割り切って、やるべきことをやって、それでおしまいならいいのです。

ですが、実際は、そうではない、困った非正規労働者が多いのです(いずれこの件についても、触れますけれど)。

よほど、ちゃんとしたチェックシステムと、業務システム、そして、複数の正社員による監視が行われない限り、民間企業が有する緊張感からくる質の向上は望めないとみるべきです。

それに、これも、いずれ触れますが、ホワイト会社(悪い意味ですよ、きっと私が初めて使う言葉だと思いますが)を作る元にもなってしまうことにもなりかねません。

いまや、素性のわからない非正規労働者が大量増殖(笑)している時代ですから、民間委託に期待しすぎない方がいい と思うのですが、行政権限のある方々、いかがですか?

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