2013年12月3日火曜日

日雇い派遣禁止の影響~試験監督を例に~

みなさんは、学校のテスト以外に、試験をうけたことはありますよね?

入試にせよ、資格試験にせよ。

その資格試験の試験監督のほとんどが、主催団体の職員ではなく、派遣社員やアルバイトだという事だという事をご存知ですか?

国家試験の類も例外ではありません。

場合によっては、その会社にまるまる運営を委託するというところもあるでしょう。

主催団体は、問題の作成と採点、合否判定をするだけというのが通例です。

もっとも、これは間違った方法ではありません。
ちゃんと、受験生の答案を管理すれば、何の問題もないやり方です。

今や、試験の運営は、イベントの運営と変わらないのです。

試験は、そうそう、多く行われません。

TOEICや漢字検定のように年に何回もといったところで、毎日あるわけではないのです。

そんなたまにしかない試験のために無駄に人を抱えるわけにはいきません。

とすると、試験当日は、正職員の応援を借りることになる。
タダですら高い日当で休日出勤手当を出すことになる。コストがかかってしまいます。
正職員とはいえ、おそらく他の部署からの応援ですから、派遣に依頼しても、品質が変わるわけではありません。

では、直接雇用のアルバイト、または、パートにしたらどうでしょう?

(1)アルバイト、パートといえども、直接雇用にすると募集、給与、福利厚生などの事務処理が発生し、コストがかかってしまいます。

(2)これを派遣にすると、これ等の手間が省けるというメリットがあるわけです。

コストを下げたい主催団体側
仕事がほしい派遣会社側
結果的に受験料を下げてほしいと思っている受験生側
誰も困っていなかったはずなのです。
これは、法を作った厚生労働省も同じだったはずなのです。

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さて、原則禁止となったからと言って、こうした試験における単発労働者のニーズがなくなったわけではありません。
ニーズがなくなっていなければ、どうなるか?

形態が変わって運営されるようになりました。

<今まで>
主催団体⇒(業務委託)一次請けの運営会社⇒二次請けの派遣会社⇒派遣社員または、アルバイト

<原則禁止以降>
主催団体⇒一次請けの運営会社⇒(請負契約)⇒派遣会社⇒(業務請負)⇒監督員
または、
派遣会社⇒(アルバイト)⇒監督員

大体こんな感じです。

これにより報酬は、どうなったでしょう?

下がりました。
思いっきり。

とある派遣会社からもらっていた今の会社、時給1600円
がバイトに切り替わり 時給900円+交通費
になってしまったのです。

で、仕事の内容は、というと、同じなのです。

そもそも、労働者のための制度改正のはずだったのになぁ~と。
単なる賃下げじゃない?

賃下げだと、経済界が喜ぶ話かもしれませんが、経済界は、日雇い派遣禁止に反対でした。今回の見直しも、経済界の要請です。

う~ん、何がしたかったのでしょうねぇ~
賃下げ以外にも、大体同じ面子で仕事ができ、品質も安定していたわけです。働く側に不満があれば、リピーターにならないでしょ?
そんな現場も、この制度は、壊してしまったのです。

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なんでこんなことに?なったのでしょうね?

法制度を変える、法による規制をかけるときには、「どういうニーズや理由があってそういう現象が出てきたのか」ここに注意して規制をかけなければ、無駄な規制がかかるだけで、余計な事務処理が増えるだけになってしまいます。

日雇い派遣は、日雇いの仕事が必要だというニーズがある限り、これを規制したところで、日雇い仕事がなくなるものではありません。要するに、規制することは、出来ないのです。

もし日雇い派遣による貧困救済を政策として行うつもりがあるのなら(まぁ、政治家たちがそんなことを考えているとは、過去においても、現代においても、無いと思いますが)、最低日当制度を創設すべきだったのではないかと思いますけどね。そんな発想はないんでしょうかねぇ~

日雇い派遣禁止は、働く人にしわ寄せが行く規制でした。

こんな規制、誰が決めたのでしょう?

民主党や社民党とかが主体的に動いていたとしたら、連合をはじめとする正規社員の労働組合が後押ししていたというのなら、そのセンスを疑います。

これも、「非正規で仕事をしたことがない人間たちが、非正規労働の問題を議論している」から、こんなセンスのない規制を考えてしまうのでしょうか?

「個人の働き方、働く態様」を規制するというやり方で労働者が幸せになるとは、到底思えないのですが、皆さんは、どう思われますか?

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